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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

あれっきり彩華さんの姿を見ることはなくなった。
本條に問うと、ホームドクターに診てもらっており、面会謝絶と。

医務室の戸を叩くも、本條の部下に追い返され。
双眼鏡で覗こうとしても、レースのカーテンの奥にそれらしき影を見るだけ。

「厳重だよ…どうしてるかな…」

今夜も入室拒否にあった俺は、リビングでアルに呟く。
今際の際の様な台詞を残した彩華さんが、現在も生きているというのはわかるけど、状態は?

「正面きったら、はぐらかされるだけだしな」

とアルは、ノートに彩華さんがいる棟の見取り図を描きだす。
その上から、赤と黒で小さな丸をつける。

それから、「行くぞ」と立ち上がった。

「頭キレるらしいから聞いてみよう」

と、弟の個室ドアをノックした。
出てきたヤツに図を見せる。

「…伊織。この姫、どうしたら助けられると思う?」

赤丸が姫で、黒丸が敵。
アルはゲームの攻略法を探るかの様に、概要を説明する。

そんなことこいつに尋ねても…。
まだ小学生だぜ?

「…どんな手段でも構わないの?」

「とりあえずは」

図を凝視しながらの伊織は、俺たちを自分の部屋に通した。

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