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僕ら× 1st.

第12章 夏鍋パ --Hzm

***

人家の明かりは乏しく、街灯だけがボーッと白く浮かぶ道。

仮眠後の午前3時20分過ぎ、自宅から少し離れた山の高台に3人を乗せたクルマは向かう。

「2日前が新月だったから、条件はいいんだって。もしかしたら30分20個くらい見られるかも」

助手席に座るリィは、車窓に顔をつけて空を見上げる。
昨日午前中に降った雨で洗われた夜空は、澄みわたっていた。

「よかったなー。ペルセウスって久しぶりだよ」

「前に一緒に見たのはしし座だったね」

「あれは見ごたえあったな」

赤い点滅信号を右折。
田んぼの中に点在した民家がどんどん後ろへ去っていく。

「フラウ?」

リィは、さっきから一言も発さない後ろを見やる。

「寝てるんじゃない?」

クルマに乗りこむときは元気そうに見えたけど、やっぱり少し体調不良なのかもしれない。

隣のリィが2度3度4度と振りかえっては落ちつかない様子なので、俺も気になって後方確認ミラーを覗く。

と、クッションを抱いて気持ちよさげに寝入る妹の、デニムのスカートから伸びた白い脚が何とも艶かしい…。

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