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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

そのまま僕は、柊兄のドアを叩く。
まぁ、聖夜に柊兄が家にいるわけないか。

リビングは、もぬけのから。
では、どこに?

あ、そうだ!
一応クリスマスだもんな。
シャンパンかワインでも1人でやってんのかな?
そんな情緒に浸る男でもないとは思うけど、念のため。

最近、柊兄が屋敷内に作ったバーカウンターに足を向ける。

僕がドアを開けると、ダウンライトのなかに2人がいた。

「よぉ、早いな」

バーテンダーのような格好をした柊兄が僕に目を向けた。

「柊兄こそ、彼女はいいの?」

「俺の恋人そこにいるし」

と、カウンターに顎をつけてぼんやりとしているアル兄を指す。

へ?2人は、できてたの?
あの下着は柊兄からアル兄本体へのプレゼント?

と、一瞬おもしろいことを考えてしまった。

「違うだろ」

少し顔をあげてアル兄が吐いた。
だよな。
あの下着はきっとあのコの…。

「こんな日にこんなところで、どしたの?」

アル兄とひとつ椅子をはさんで座る。

「お前こそ、どしたのさ?今夜は帰ってこないかと思ったのに」

と、柊兄はレモンの欠片がくっついたグラスを僕にくれる。

「何で?ここ、俺ん家だろ?……いくら公認でも中学生が朝帰りはヤバイだろ?」

「ヤってきたの?」

「はぁ……柊兄はのんきでいいね」

僕に花野が抱かれると思って、アル兄が落ちこんでるんだろ?
それでもそんなこと聞くんだろ?
きっと、アル兄に花野をあきらめさせるために……。

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