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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

違和感の始まりは、帰国後すぐ。
兄貴に避けられているような。

そして、兄貴の名が出た時の根岸顧問の軽微な挙動不審。

僕のいない間に、彼女と出会ったんだね。
それで、僕の存在を知って……。

まさか兄貴がと、少しずつズらしていたピース。
そんなはずないと思いたかったけれど、これで確実につながった。

濃厚なのは、1つ目…………。

保護者呼出後、和波兄から聞いた話では、あの訂正前の記事に怒り、新聞部の連中を呼びだせと永井にすごんだらしい。

口でどんなに罵っても、結局は僕のことを大事に思ってくれる優しく頼れる兄貴。

今まで欲しいものは大抵、手に入れてきた男。
あんなものを作るまでに好きなんだろ?

僕がいなければ、ガンガン行きたかったんだろ?

"俺に妹ができたら嬉しい"って、"俺らが守る"って言ってくれた……。

兄貴が、僕に託してくれている……。

"俺はこいつを心底信じてる"と言ってくれた。

兄貴を騙したくはないのに……。
だけど、僕はっ……。

フェアじゃなくてごめんね。
引いてくれてありがとう。
いくら兄貴でも、ゆずれない。

僕は気づかないふりを続けるよ……。

花野以外のことでは、僕は決して兄貴を裏切らないから。

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