テキストサイズ

僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

あれだけ作りこめているからには、今月だけの作業ではないだろう。
半年以上はかかるはず。

彼女の名前を教えたことはなかった。
兄貴も特に興味なさそうで。

保護者呼びだしの少し前だ。
兄貴が僕の部屋にやって来て、アルバムを見て言った。

"このコがフィアンセだな?"

あの時は僕も取り込み中で、さして疑問に思わなかったが。

兄貴は、フルネで彼女を知っていた。
クラスメイトがいくら可愛いとウワサしたって、耳を貸す男じゃないだろうに。

僕がアルバムを取りあげようとすると、険しい顔で拒んだんだ。
アル兄ってそんな潔癖だったかと引っかかった…。
だって、あのアルバムは僕のものだ。

そのあと、どうしてアル兄が僕を激励するのか、とても違和感があった。
格闘技のことであるなら理解は易いが、恋愛関係で兄貴が口を開いたのだから。

兄貴らしいけどらしくない、あの叫ぶようなアドバイス……"ガンガン行け"。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ