
僕ら× 1st.
第8章 le journal --Ior,Ar
~速水伊織side~
クリスマスの夜。
世話になった兄たちに渡そうと、小さな包みを持って、部屋を訪ねた。
まずはアル兄のとこから。
だけど、ノックしても返事がない。
留守かな?
そう思ったけど、なかから雨垂れ調子のピアノのような音が聞こえる。
まさか、兄貴がピアノの練習?
好奇心が先だった僕は、針金を鍵穴に差しこんだ。
兄貴だって以前、僕の部屋を勝手に開けたよな。
もう少しで発射ってとこで。
これくらいいいだろ、と思いながらドアをそっと開けると、その音は少し強く聞こえてきた。
部屋に兄貴はいなかった。
音がするのは、右手にある半開きのドアの奥……兄貴のラボからだった。
静かに近づいて耳を澄ませる。
この曲は、僕のチャリソング。
ゆっくり覗くと、暗がりのなかであかりの灯ったそこには、人らしき影が2つ。
1人は座ってアップライトのピアノを弾き、もう1人は傍に立って何かしきりにメモをとっている。
アル兄と柊兄かと思ったが、ピアノに座っているのはどう見ても女のコ。
そのコがピアノを弾くたびに、セミロングの髪が揺れる。
兄貴、女を連れこんでんのか?
意外…だけど、ありえなくもない。
兄貴だって男だし……でも、こちらの邸内にまで入れるってのはセキュリティ上、どうだろ?
ま、今夜くらい多目にみようか。
明日、尋問してやろ。
そう思って引き返そうとしたところ。
「マスター?」
僕がアル兄だと思ったほう…立っている男に声をかけられた。
ピアノのコも手を止めて僕を見る…。
なっ……!
クリスマスの夜。
世話になった兄たちに渡そうと、小さな包みを持って、部屋を訪ねた。
まずはアル兄のとこから。
だけど、ノックしても返事がない。
留守かな?
そう思ったけど、なかから雨垂れ調子のピアノのような音が聞こえる。
まさか、兄貴がピアノの練習?
好奇心が先だった僕は、針金を鍵穴に差しこんだ。
兄貴だって以前、僕の部屋を勝手に開けたよな。
もう少しで発射ってとこで。
これくらいいいだろ、と思いながらドアをそっと開けると、その音は少し強く聞こえてきた。
部屋に兄貴はいなかった。
音がするのは、右手にある半開きのドアの奥……兄貴のラボからだった。
静かに近づいて耳を澄ませる。
この曲は、僕のチャリソング。
ゆっくり覗くと、暗がりのなかであかりの灯ったそこには、人らしき影が2つ。
1人は座ってアップライトのピアノを弾き、もう1人は傍に立って何かしきりにメモをとっている。
アル兄と柊兄かと思ったが、ピアノに座っているのはどう見ても女のコ。
そのコがピアノを弾くたびに、セミロングの髪が揺れる。
兄貴、女を連れこんでんのか?
意外…だけど、ありえなくもない。
兄貴だって男だし……でも、こちらの邸内にまで入れるってのはセキュリティ上、どうだろ?
ま、今夜くらい多目にみようか。
明日、尋問してやろ。
そう思って引き返そうとしたところ。
「マスター?」
僕がアル兄だと思ったほう…立っている男に声をかけられた。
ピアノのコも手を止めて僕を見る…。
なっ……!
