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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

永井が「問題はそこじゃない」とサラッと言うので、俺は拳を握りしめた。

俺の気持ちを察してか、彼女の兄貴が俺の肩に軽く手を当て首を横に振る。
"この男に喧嘩を売らないほうがいい"…わかるよ……。

俺が自分を抑えようとしていると、ガラッと扉が開き「お待たせしました」とあの顧問:根岸が入り、続いて2人が顔を出した。

「なっ、兄貴がどうして?」

入ってきた愚弟は、彼女の兄貴に首をすくめて見せたあと、拳を頬杖にして記事をにらんでいた俺に気づいてびっくりする。
伊織の横で、彼女が俺に向かってペコッと頭をさげた。

「こんな暇なミーティングに行きたがる連中、家にいねぇし」

俺たちのお目付け役のブレーン:小柴から連絡があったんだ。
仕方なかろ?

「おい、吉坂。口をつつしめ」

彼女と伊織は机奥の中央に座らされ、その脇をそれぞれの兄、その向かいに永井と根岸が座った。

「紹介がまだでしたね。宮石さん、こちらが問題の速水伊織とその……保護者でいいのか?」

「いい」

「速水の兄の吉坂侑生、高校1年です。で、吉坂、こちらが宮石花野さんと、そのお兄さんだ」

「宮石和波(カズハ)です。よろしく」

「こちらこそよろしく」

「隣にいるのが速水の担任で2人が所属する同好会顧問の根岸で、私が学年主任の永井です」

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