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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

~吉坂侑生side~

去年文化祭あたりから彼女と話すことが増えて…卒業して…。

帰国した伊織と彼女の2ショットに揺らいで、ヤツを避け気味の俺だったが、この頃はまあ普通に会話できてると思う。

最近の彼女との話は聞いていないけど、あいつの表情からすると良い方向なんじゃないか?
ここ一週間、いつもより帰宅時間が遅いのが気になるところ…。

今年もまた12月。
彼女の赤いサンタ姿は焼きついたまま。
冬休みが始まろうとしているのに、俺は伊織の件で中等部の生徒指導室に呼ばれた。

優秀な弟。
その伊織がなぜ、こんな年末に保護者呼びだしをくらうんだろ…?

中2の今だから、進路ではないだろう。
それとも、いつかの俺のように全教科のテストを鏡文字で提出したのか?

相手によって臨機応変に対応できるあいつは、俺と違って品行方正路線だと思っていたんだけどな。

彼女がらみの暴力沙汰ならあるかもな。

あいつもそれなりに強いはずだけど、もし、負けたってんなら一から鍛えなおしてやらねぇとな…。

そんなことを考えながら、俺は部屋のなかに足を踏み入れた。

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