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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

「すげぇ。お前、今の一瞬でこんな文章書けるんだ。ライターになれよ」

「そんなとこ感心すな」

ひねりも何もない、つたない文章だ……。

と、ノックが聞こえ、ドアがガラッと開いた。

「失礼しまーす。あ、速水か…じゃあ、あのことか……」

ジャージを着た依田は、俺に気のない視線を投げたあと、顧問に向かった。

「よぉ、部活中のとこ悪かったな。これに目を通してくれ」

顧問は、新聞部の原版を依田に見せる。
ヤツはすぐに関連記事を見つけ、がぶりよった。

「何これっ?こんな酷い脚色、誰が?」

「やっぱ、でっちあげなのか?」

「だって……遠くて声は聞こえなかったし。確かに抱きしめてはいたけど、下半分はウソですし。速水の紹介文だって、こんな書きかたはないと思います」

依田は、俺をチラチラ見ながら答える。

「キスは?」

「……したように見えました。でも、俺らがいるのに気づいたあとで……。なぁ、速水。マジでした?」

へぇ、こいつ……。

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