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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

「……この写真、お前と宮石で間違いないのか?」

顧問は俺のブレスと画像のを見比べる。

「そうだね。このカバンのブローチ、そして、このストレートロングヘアだもん。うん、バッチリ撮ってくれて嬉しいな。僕、初めて抱きしめたんだ。めっちゃ気持ちよかった」

「記念撮影じゃねぇよ……で、つきあってんだ?」

来た。

僕の組んだ茶番に乗っかかってこい。

でも、ウソはあまり広げないほうがいい…。
交際以外は事実を喋ろうと決めていた。
そぐわなくても、相手は勝手に想像してくれるから。

「一応。ただ、花野には"弟"だと言われたけどね」

「お前が弟?宮石の?」

そこで顧問は、心底おかしそうな顔をする。
だよな?
僕が彼女の弟なんてありえない。

「可哀想でしょ?僕」

「いやあ、何か宮石のほうが可哀想な気が…お前のワナにかかった小動物みたい…」

可哀想なワケないよ。
僕は彼女を誰よりも幸せにするんだから。

「…先生。この文章、書きかえてよ」

僕はペンとレポート用紙をカバンから取りだし、改正版を顧問に手渡した。

改正版……↓
見出し"熱愛発覚!放課後の密会激写"
『2学期始業日の放課後、剣道の有段者H.I君(13)とピアノ前の美少女M.Kさん(13)は、屋上で再会の熱い抱擁と接吻をかわした。
1年間の留学を終えたH君はMさんを誘いだし、我々がこっそり見守るなか、今まで抱えてきた想いを告白した……"好きだよ、○○"。
Mさんも"会えなくて寂しかった。傍にいたい"と返し、2人は晴れて彼氏彼女になった。
H君は優しくMさんを抱き寄せた。
想いが通じあったH君とMさんを温かく見守っていきたい。』

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