
僕ら× 1st.
第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar
早く泣きやんで、私。
彼が困っているよ?
鼻から水が出ちゃうよ?
ああ、どうやったら涙は止まるんだろう?
気分を変えようと、楽しかったことを思いうかべても、それは彼につながるものばかりで。
目の前は海のなかのように屈折して、座りこむ私の前に、身をかがめている彼の表情は見えなくて。
コンクリートの上についた、その左手にかかる皮のブレスが漂い、さらに想いが溢れてきた。
時間の感覚はよくわからない。
夕方ではないけれど、陽はそんなに高くない頃。
ようやく涙が止まり、ぼうっとした頭の私が顔をあげると、彼は何も言わないで微笑んでくれた。
やっぱり、好きだなぁ。
胸にジンっとそう感じると、両目の周りにきゅうっと痛みが走り、また懲りずに私は涙に濡れる。
もう、どうして泣いたのか、わからなくなるくらい泣いた気がした。
「ごめんね。私、どうしようもないね。お腹空いたね。リル、先に帰ってね」
涙はまだ引かないけれど、言葉が喋れるようになって、よかった。
リルに謝ることができて、よかった。
「腹なんかへらないよ。フラウが落ちつくまで、僕は傍にいるよ」
そう言った彼のお腹がぐうっと鳴り、私のお腹が返事をしたのでふたり、その場で目をあわせて笑った。
そのあと、彼がハグしてくれた。
泣き虫でしかたのない妹…そう思ってるんだろうな。
それでもかまわない。
優しいあなたの近くにいられるのなら。
ぎゅっとされて、温かい幸せな気持ちであふれる。
彼の匂いに安心する。
この関係が永遠に続くといいのに。
リルに彼女なんて、できなきゃいいのに。
彼が困っているよ?
鼻から水が出ちゃうよ?
ああ、どうやったら涙は止まるんだろう?
気分を変えようと、楽しかったことを思いうかべても、それは彼につながるものばかりで。
目の前は海のなかのように屈折して、座りこむ私の前に、身をかがめている彼の表情は見えなくて。
コンクリートの上についた、その左手にかかる皮のブレスが漂い、さらに想いが溢れてきた。
時間の感覚はよくわからない。
夕方ではないけれど、陽はそんなに高くない頃。
ようやく涙が止まり、ぼうっとした頭の私が顔をあげると、彼は何も言わないで微笑んでくれた。
やっぱり、好きだなぁ。
胸にジンっとそう感じると、両目の周りにきゅうっと痛みが走り、また懲りずに私は涙に濡れる。
もう、どうして泣いたのか、わからなくなるくらい泣いた気がした。
「ごめんね。私、どうしようもないね。お腹空いたね。リル、先に帰ってね」
涙はまだ引かないけれど、言葉が喋れるようになって、よかった。
リルに謝ることができて、よかった。
「腹なんかへらないよ。フラウが落ちつくまで、僕は傍にいるよ」
そう言った彼のお腹がぐうっと鳴り、私のお腹が返事をしたのでふたり、その場で目をあわせて笑った。
そのあと、彼がハグしてくれた。
泣き虫でしかたのない妹…そう思ってるんだろうな。
それでもかまわない。
優しいあなたの近くにいられるのなら。
ぎゅっとされて、温かい幸せな気持ちであふれる。
彼の匂いに安心する。
この関係が永遠に続くといいのに。
リルに彼女なんて、できなきゃいいのに。
