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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

甘いのは言葉だけで、そんな素振りを見せないリルに安心しつつも、落ちつかない。
だって、さっきから何かじっと見つめられてる気がして。

でも、意識しちゃって目をあわせづらい……。
それに、"マ シェリ"だなんて恋人みたいな。

私ばっかり誉められちゃって、悪いわ。
だから私も、リルのことを誉めるんだから。

「っもうっ、私も言うよ?リルったら、可愛い」

「何それっ。男に"可愛い"は褒め言葉じゃないよ」

「何を言い出すんだ」とリルは口を尖らせる。
ほら、その仕草、可愛いじゃない。

「リルは私の可愛い弟だもんっ」

だって、可愛いものは可愛いんだもの。
リルが言うんだから、私も言ってもいいでしょ?

だけどその瞬間、リルの顔色が変わっていくのを感じた。
あちゃ、失言だった…?

「僕はね、フラウリィと姉弟だなんて思ってないよ。姉弟だなんてっ。一度も思ったこと、ない!」

ギュギュッ。
胸をわしづかみにされるってこんな気分なんだろうか……。

彼のセリフがループを始める。

"姉弟だなんて"…なら何だっていうの?
親子なの?

このあいだ、"好き"って言ってくれたのは何なの?
あんな気軽に言ったんだもの、家族の挨拶なんでしょう?

それに、あなたは誰かと両想い。
はっきりしていない私の気持ちは、まだマコも知らないんだもの。

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