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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

~宮石花野side~

夏休み明けの始業式が終わり、帰ろうとしたところをリルに声をかけられた。
「久しぶりに街を見たいから、屋上にのぼろ?」って。

屋上から眺める街は、まだまだ夏。
入道雲を背景に、道路では逃げ水が揺れる。

「あんまり変わってないなぁ」

「リルは変わったよ。大人っぽくなった」

私のまわりのなかで、一番変わった。
留学でいろんな経験をしたんだろうな…彼からは何かとても大きな力が感じられて。
私と同じ中学生ってことが不思議だった。

「まだまだ兄貴たちにはガキ扱いされてるけどね……フラウは、あいかわらず可愛い」

笑顔の口のまま私の髪の束をつかみ、くるくると器用にもてあそぶ。
……私の髪は、猫じゃらしじゃないぞ、と思ったけど。
それは、ま、いいのよ。

問題なのは、セリフのほうよ。。

「……リル、やっぱり変わった。前はそんなこと言わなかったもん」

子どもっぽいって意味なのかな…。

「言わなかったけど、思ってたよ?フラウリィは、めっちゃ可愛い。ぎゅって抱きしめたくなる……マ シェリー(僕の愛しいキミ)」

えっ?ええーーっ?

りゅっ、留学先って、オープンな風土だったんだね、きっと……過剰なくらい。

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