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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

「あの部屋は大輔と俺とで片しておくよ」

クルマを走らせながら、柊兄は気を遣ってくれる。

「いや、僕もできる。できなきゃこの家で生き残れない」

「…そうか。たくましくなったな……と、言うべきなんだろうか?」

「無理すんな?」と言うけれど、柊兄だって無理してるんだろ?
それも、父親の命令なんだ……。

「柊兄とならできると思うんだ。……ありがとう」

「どういたしまして」

柊兄、僕だってまだ中2だからなんて甘えてはいられない。
これでもまだましなほうだ。

一生が苦でしかない同胞、救いだせるといいのに……。

重い箱を山守に引き渡して、僕らはトンボ返り。

途中から大輔さんも入って3人で、あの陰鬱な部屋を洗いだす。

それからそれぞれシャワーを浴びる。
どれだけ洗おうが独特な臭気が離れない。

あの2名が誰かなんて考えることも捨て去った。
手足の感じからは、若くはなかったかとは思うけど。
誰であろうと、もう戻らない。
燃えて、水と空気と灰に。

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