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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

《ご注意ください》
ここまで読み進めてくださり、本当にありがとうございます!

ここから3ページは、やや気持ちの悪い表現が含まれます。苦手なかたは飛ばし読みしてください。


「お前……見たことあるか?」

目当てのドアの前で立ち止まった柊兄は、僕を心配そうにチラッと見る。

……やはり、この場合の"見たこと"ってのは、"夫婦"じゃなくて処理が必要な……。
そんな臭いが漂ってきた……。

「死体ってこと?」

ドアノブに手をかける柊兄は、僕の答えでは不足アリと言いたげな表情をする。

「いいか?なかにあるのは、大きな爆発トマト。そして、プチプチトウモロコシと小麦粉粘土のヌメっとした造形物だ」

……。
"いいか?"と言われても内部の状況がある程度想像できてきた僕は、"オッケー"とは軽く返せず。

「初めはここで待ってろ。変なガスや不可視光線のたぐいは一応発生してねぇみたいだけど、俺が倒れたら…余裕があれば助けてくれ?」

柊兄は左手につけた測定器を確認しながら、鍵をはずしてドアを開ける。

それは初めての僕に、"俺がやるから、お前は見ているだけでいい"と伝える口実。

「絶対に助けるよ」

そう言う僕にニッと笑って見せた柊兄はひとり、部屋に入っていく。
優しい柊兄を置いて逃げるなんてするわけないっ。

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