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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

自宅に着いて、柊兄と本條の部屋に駆ける。
今回の呼びだしはふたりだけ。

部屋に入ると、すぐに奥から何か飛んできて柊兄がそれをつかんだ。
…鍵だった。

「1号室の処理を頼む。山守には連絡済みだ」

机向こうの本條にそう言い渡された僕らは、何も質問しないままにドアから出された。

柊兄はまず倉庫に入り、ロッカーから作業着を僕に寄越す。
着替えたあと、分厚いマスクと革の手袋にゴーグル、長靴をふたり分取りだした。

「1号室に何が入ってるの?」

これからするのはどういった作業なんだろう?

ビニールやガムテ等の入った大きなダンボール箱を乗せた台車を引いて長い廊下を歩きながら、柊兄に尋ねてみる。

「用務員の夫婦が住んでなかったっけな?」

用務員夫婦?そんなの初耳。

僕たちの居住区と別棟とはいえ、この屋敷内に住む女性って、柊兄の彼女しか見たことない。
いや、親父らが何人か連れこんでいるのは知ってるけど。

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