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僕ら× 1st.

第6章 卒業まで --Ar,Mkt

「花野、元気?」

急な訪問者に驚くも、私だとわかるとニコッと笑ってくれる。
幼児みたいに素直で可愛い花野。

「元気だよ?どうしたの?何か飲む?倉庫にオレンジジュースとおしるこ缶があるの。寒いから冷えてるよ?あたためもできるよ?」

私の顔が赤いのは、走ったせいじゃない。
でも、こんな花野の心遣いは、ツッコミ好きの私を落ちつかせる。
おしるこって!そんな渋いもの誰が持ってきたの?

「今そこでね、アル先パイに会ったの」

突然に先パイの名前を出しても、花野はドキドキしたりしない。
倉庫から持ってきたオレンジ缶をフリフリして、私にくれる。
ほてった身体にそれは、ほどよく気持ちよくて。

「そうなんだ。よかったねぇ」

フツーの会話。
今、先パイがどこにいるのかも興味ないんだ。

「もうめっちゃカッコよかった!」

速水なんかよりずっとずっとカッコいいのよ!

「ふふ。何かお話したの?」

「挨拶を少し」

さっき初めて、先パイと言葉をかわしたんだなぁ。
柊先パイがいらしたおかげかもしれないけど、思ったより普通に対応できてよかった。

「すごい!一歩近づけたね!」

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