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僕ら× 1st.

第6章 卒業まで --Ar,Mkt

中学校に進み、速水とクラスが別れたけれど、花野は元気そうだった。
逆に速水のほうがそわそわと、休み時間ごとに花野の教室を覗いたり。

あはは、大丈夫だって。
一朝一夕ではふたりの関係が壊れることはないはず。

私的にはカッコいいとは言えない。
ああ言えばこう言う屁理屈野郎の憎たらしい速水なんて、どこがいいのかわからない。

花野は、"剣道してるとき、すごくカッコいい"って言うけど、防具で顔見えないじゃんね?

速水が留学しても、このふたりの絆は結ばれたままだろう。
留学前なんて、ブレスとネックレスを渡しあってさ。

だから、いくら先パイがカッコよくても花野は……。

先パイ、せつないな。
それも、相手は自分の親戚…弟分。

遠い存在だった先パイが、突然身近に感じられた。

私にできることは何だろう……。
正解かはわからなかったけど、声をかけてみようと思った。

部活のあいまに、先パイが音楽室前にいるのを確認する。
休憩時間になるとすぐにタオルで汗を拭い、制汗スプレーを軽くふって、体育館から先パイ前までを急ぐ。

と、柊先パイがやってきて先パイを蹴る……。
ひとりじゃなくなっちゃった…どうしよう……。

もう、音楽室はすぐそこ。
とりあえずふたりに挨拶し、室内に入るかうかがう。

アル先パイが私を見た……うっ、やっぱりカッコいい。
その色気に圧倒されて、耳まで赤くなるのを感じる。

考えていたセリフを読む。
先パイに、なかに入るきっかけを少し。

「音楽室に用事ですか?忘れ物とか?」

と、先パイは予想どおり首を横に振ったので、私はドアのなかに逃げた。

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