
僕ら× 1st.
第1章 初期状態 --Ior,Shu
***
その朝は、登校前。
天井のフックから吊りさげられた袋には、遮光のための褐色カバーがかかっている。
その下方から1本の透明な細いチューブが下がり、1滴また1滴と水滴が音もなく規則正しく落ち続ける。
アルコール類を注意深く撤去して、テーブルをキレイに拭いて、パーティを始める。
彩華(アヤカ)さん、用意はいいかな?
プレートの上にロウをたらし、熱いうちにロウソクを立てる。
1本、2本……。
「そうだ、伊織にフィアンセがいるんだって。中1で生意気だよな。
もう1人の兄弟は、飽きもせず機械相手にぶつぶつ言ってるよ。俺も、相変わらずだけどな」
並んだロウソクに火をともす(実際は火気厳禁!)。
明るい炎の波が、彼女の顔を揺れながら照らす。
今日は誕生日だね。
「桜のレアチーズケーキ、買ってきたよ。ロウソクは22本。穴があいちゃうからケーキには刺さないね」
グラスに泡立つ液体を注いで……。
ハッピーバースデー。
「彩華さん、大好きだよ」
その朝は、登校前。
天井のフックから吊りさげられた袋には、遮光のための褐色カバーがかかっている。
その下方から1本の透明な細いチューブが下がり、1滴また1滴と水滴が音もなく規則正しく落ち続ける。
アルコール類を注意深く撤去して、テーブルをキレイに拭いて、パーティを始める。
彩華(アヤカ)さん、用意はいいかな?
プレートの上にロウをたらし、熱いうちにロウソクを立てる。
1本、2本……。
「そうだ、伊織にフィアンセがいるんだって。中1で生意気だよな。
もう1人の兄弟は、飽きもせず機械相手にぶつぶつ言ってるよ。俺も、相変わらずだけどな」
並んだロウソクに火をともす(実際は火気厳禁!)。
明るい炎の波が、彼女の顔を揺れながら照らす。
今日は誕生日だね。
「桜のレアチーズケーキ、買ってきたよ。ロウソクは22本。穴があいちゃうからケーキには刺さないね」
グラスに泡立つ液体を注いで……。
ハッピーバースデー。
「彩華さん、大好きだよ」
