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僕ら× 1st.

第1章 初期状態 --Ior,Shu

マジで空手やる気か?と思いつつ、短い着信音を鳴らして光るスマホをカバンから取りだす。
彼女の悩殺画像だなんて、ウソっぱちだろうけどさ。

若干期待しつつ、画面をタップする。

「んだよ。…っな?」

「見てわかるでしょ?キス顔よ」

片頬に手を添えて目をきゅっとつぶり、軽く唇を尖らす彼女と小津の2ショットだった。

何してんの、この2人は?
あぁ、ネズミのテーマパークで舞いあがってんだな。
彼女が頭につけている茶色いリス耳のカチューシャを見て思いだす。

チップ&デール、いたずらな2匹のリスが彼女のお気にいりだ。
見わけかたは、鼻血デール(赤い鼻のほうがデール)…だったよな?

「……ありがと」

いつか僕にも、こんな顔を見せてくれるのだろうか?
切ない考えがよぎり、胸が小さくキュンと鳴った。

「素直でよろしい……授業中は消音バイブにしなよ?愛しいショコラちゃんからエスケープコールでもあるの?」

「あるかもね」と口を歪めながら、着信設定を変更した。

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