
僕ら× 1st.
第1章 初期状態 --Ior,Shu
ベルが鳴ったのに教師はなかなか現れず、授業開始を待つ間に隣の席の小津茉琴(マコト)が声をかけてきた。
「速水。アル先パイって、彼女いないの?」
こいつも兄貴のミーハーファンか。
「いないと思う」
「やった!好みとか聞いてない?」
「和食かな?」
意図はわかるが、あえて適当にはずして返す。
もううんざりなんだけど。
「女のコの好みだよ!」
「知らないよ。直接本人に聞けよ」
昨夜の会話からすると、アル兄の好みは、"自分を好きじゃないコ"って感じだったからな。
それはさすがに、ここで口にしないほうがいいかな。
「そんなの聞けるわけないじゃない。あんたの可愛いショコラちゃんの悩殺ショット見せてあげるから」
普通ならここで女子はあきらめるのだが、小津は食いさがってきた。
予期しない特典をちらつかして僕の心を乱す。
「え?…いや、ウソだろ?」
「あっは、反応した!可愛い」
小学5年から学校が一緒の小津は、彼女とはとても仲がいい。
当然、僕の気持ちにも気づいており、時々暇つぶしにオモチャにされる。
チョコ好きな彼女のことを"ショコラ"と呼んでいたのを聞きつけて以来、僕に話しかけるときはこの愛称をこれ見よがしに使ってくる。
「うるさいな。アル兄は女にキョーミないよ」
「そうなの?」
「今のところ、面倒とかウザイとか言ってる。近づきたいなら、空手でもやれば?」
初心者女子なんて相手にされないだろうけど、女子最強にでもなれば、あの兄貴でも一目置くんじゃないかな。
そうまでいかなくても、同じ話題には入れる。
それが恋愛につながるかは、まったく保証できないけど。
「そうなんだ、空手か…。お礼にこの画あげるね。はい、送信」
「速水。アル先パイって、彼女いないの?」
こいつも兄貴のミーハーファンか。
「いないと思う」
「やった!好みとか聞いてない?」
「和食かな?」
意図はわかるが、あえて適当にはずして返す。
もううんざりなんだけど。
「女のコの好みだよ!」
「知らないよ。直接本人に聞けよ」
昨夜の会話からすると、アル兄の好みは、"自分を好きじゃないコ"って感じだったからな。
それはさすがに、ここで口にしないほうがいいかな。
「そんなの聞けるわけないじゃない。あんたの可愛いショコラちゃんの悩殺ショット見せてあげるから」
普通ならここで女子はあきらめるのだが、小津は食いさがってきた。
予期しない特典をちらつかして僕の心を乱す。
「え?…いや、ウソだろ?」
「あっは、反応した!可愛い」
小学5年から学校が一緒の小津は、彼女とはとても仲がいい。
当然、僕の気持ちにも気づいており、時々暇つぶしにオモチャにされる。
チョコ好きな彼女のことを"ショコラ"と呼んでいたのを聞きつけて以来、僕に話しかけるときはこの愛称をこれ見よがしに使ってくる。
「うるさいな。アル兄は女にキョーミないよ」
「そうなの?」
「今のところ、面倒とかウザイとか言ってる。近づきたいなら、空手でもやれば?」
初心者女子なんて相手にされないだろうけど、女子最強にでもなれば、あの兄貴でも一目置くんじゃないかな。
そうまでいかなくても、同じ話題には入れる。
それが恋愛につながるかは、まったく保証できないけど。
「そうなんだ、空手か…。お礼にこの画あげるね。はい、送信」
