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僕ら× 1st.

第5章 伊織の婚約者 --Shu

「あれが、花野ちゃんの兄貴か?」

運転席に座ってたからよく見えなかったけど、20~30歳代ってとこだな。
背は高そうだった。

チェロを弾けるかどうかも、わかんねぇし。
シャーロック・ホームズでもシャーロキアンでもない俺は、たとえ手を凝視してもわかんねぇし。

「歳、離れすぎてね?」

来た道を戻りながら、先ほどのシーンを回想する。

「じゃあ、誰だよ?父親か?」

兄貴がいくつなのかわからねぇが、花野ちゃんが12~13歳だから、若すぎる父親なら20代後半か……年齢はクリアだけれど。
その年代が中学生の子持ちであんなクルマ乗りまわすか?
かといって、花野ちゃんには伊織が一応いるんだし彼氏とかじゃねぇよな…。

「わからん。俺、今度、マコちゃんに聞いてみるよ」

伊織に聞くのが一番てっとり早いんだけどな……。

「誰それ?」

「さっきのバレー部のコ」

「すっげぇ。お前、もう仲良くなったのか?」

お前が逃げるからだ、勝手に感心してろ。

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