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僕ら× 1st.

第5章 伊織の婚約者 --Shu

「渋いな…」

その映画のタイトルは俺も知っていた。
ギャングの話だよな。
女のコたちに声をかけたって、返ってこないはずだよ…。

「家にあるよな?」

「その手のは必ずあるよ」

「花野ちゃん、ああいうの好きなのかな?あれって、どっちかっつーと男が好きそうな?」

「兄貴の影響かもな。ただ、映画を観てるとは限らねぇぜ?けど、これで話題ができたな」

「映画観てないって言われたら終わりじゃね?」

……あいかわらず、対花野でまわらねぇ頭だな。

「貸してあげれば?」

「ああ、そうか…」

そのとき、前を行く彼女が駆けだした。
道路脇に停まっている白い高級車に近寄る。

アルが速足でついて行きそうになるので、襟を引っぱって止める。

花野ちゃんが乗りこんだクルマの運転席の男は、サングラスをかけている。
どこを見ているかわからねぇってことだ。
花野ちゃん関係者であっても無闇に近づくんじゃねぇ。

そのクルマはウィンカーを出し、本線に合流していった。

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