
オキナグサ
第1章 ミホ
慣れてないにしても
貴重品の管理とかはちゃんとしないと
いい大人なんだし
コートも、いいの着てるんだから
皺になったら困るのに
アサヒさんの荷物をテーブルセットの椅子の上へ移動して、コートをハンガーにかける
「はい、終わり」
荷物を移動し終えて、息を吐きながらベッドに腰掛ける
あ、ベッド柔らかい
これは寝ながらするのいいかも
スプリングがいいから跳ねる跳ねる
ベッドの上で弾みながら遊んでいると、シャワールームの扉が開いてバスローブに身を包んだアサヒさんが出てきた
「おかえり」
「……」
?
何も言わずにおれの隣に座った
「じゃあ、俺もシャワー浴びてくるね?」
「……っ! 待っ……」
「え……」
立ち上がろうとしたところでパシッと腕を掴まれる
「なに……?」
シャワー浴びちゃダメ?
怖くなっちゃったから今日はやめるとか?
「あの……俺、一人でここで待ってると……逃げ出したくなりそうで……」
あぁ、そういうこと
「夏でもないし暑くはなかったとはいえ、俺も人並みに汗とかかいてるけど……いいの?」
今、頷いたよね
「じゃあ、シよっか」
