
オキナグサ
第1章 ミホ
顔が赤いね
俯いたってわかるよ
「部屋、取ってくれてるんでしょ? 俺が一晩でアサヒさんの悩みに決着つけてあげるから、行こう?」
にっこり笑った俺の顔は
アサヒさんにはどう映ってるかな
「あぁ……行こう」
俯いた顔が少し赤く見えたのは
お店の温かな色の照明のせいかな
エレベーターで随分上がった先にあった部屋に、ロビーでアサヒさんが受け取った鍵で入るとまず窓一面に広がる夜景が目に入った
「わ……すごい。俺こんなに綺麗な夜景初めて見た」
そもそも夜景が綺麗なホテル
なんてかっこいいとこ、ただの大学生の俺が簡単に来たり出来ないし
「そうか……」
そっけない返事がちょっと不満で振り返る
あぁ、なんだ
緊張してたのか
「……お風呂、一緒に入る? 一人で入る? それとも……もう、シて欲しい?」
今唾飲み込んだね
部屋の中が静かだから、コクンって可愛い音が俺の耳にも聞こえたよ
その喉、噛みつきたい
「……ひ、一人で入る……っ」
「そう? 残念。一緒に入ったら隅々まで洗ってあげたのに」
「……っ、入ってくる!!」
あーあー……
鞄とか、床にぽいぽい投げちゃって
俺が悪い人だったら全部持ってかれちゃってるよ?
