
オキナグサ
第1章 ミホ
ここへ来た本来の目的も忘れて食事をして、漸く食後のお茶を飲みながら落ち着いた頃
少し話しにくそうにアサヒさんが話しかけて来た
「その……ミホ、さんは……ゲイ……なんだよな?」
ゲイって言葉がすっっっっっごい小さかった
「うん。そうだよ。女の人には興味ない」
「それはいつ、どんな風に気づいたんだ? わかってすぐに受け入れられたか?」
いつ、どんな風に
「明確な時期とかタイミングとかはよくわからない。小さい頃から女の子に全く興味が湧かなくて、思春期に気になったのがみんなが騒ぐ女の子の裸より隣で着替えてる男子の裸だった。とかそんな感じ」
あと
「抵抗は……うーん……なかった、かな。人と違うことが、俺は悪いことだと思ったことはないから」
それも個性
あれも個性
そうやって受け入れられた方がきっと、人生楽しく過ごせる気がするんだ
「そうか……人と違うことは、悪いことじゃない……か」
食欲も満たされて
今日は講義で寝たから睡眠欲も薄くて
あとは性欲だけなんだけど
それは俺だけじゃないみたいだね
「気になるんでしょ? 自分が『そう』なのか『そうじゃない』のか」
