
オキナグサ
第1章 ミホ
自分の家からそう遠くないところで待ち合わせでよかった
それに、晩御飯奢るから一緒に食べたいなんて初めて言われちゃった
まぁ多分、俺の身元確認でいきなりホテルが嫌だったんだろうけど
待ち合わせまであと5分ぐらいか
そろそろ来るかな?
スマホで時間を確認していると
「失礼ですが、ミホさんでお間違い無いでしょうか?」
と、メールの文面で想像していた通りお堅い話し方の人に声をかけられた
こんなの新鮮だから、顔にやけちゃうな
あと案の定スーツだった
かっこいー
「うん、俺がミホだよ。貴方がアサヒさん?」
「はい。私がか……アサヒ……です」
ふふっ慣れてないなぁ
苗字が「か」で始まる人かな?
「食事に行くんだよね? どこ行こっか?」
「実はもう予約をしてあるんです。行きましょう、こちらです」
「え……予約なんて、高いんじゃないの? 俺も少しは払おうか?」
足長いなぁ、俺身長低くないはずなのに俺より高いし歩くのも早いや
「いえ。こちらが無理にお願いしたことなので、お気遣いなく。それに……失礼ですがお若く見えますし……お金を出して頂くには……」
「想像と違ってがっかりした? ごめんね」
