
ALL MY LOVE IS FOR YOU
第3章 初恋【銀白】
「シルバー、笛上手いね!」
結局、冴は4人の反対意見を押し切り毎朝テトムと共に天空島へ月麿に会いに来ていた。
「そうか?…並だと思うが…。」
「ううん!シルバーの笛は聞いててうっとりするっていうか…どこか懐かしく感じるわ!」
「…ありがとう。」
髪の毛を掻き上げ赤くなった顔を誤魔化す月麿にテトムは「照れてるの~?」と揶揄う。
「別に照れてなどいない!!…少し暑いだけだ。」
「え?そう?私は快適だけど…シルバーって暑がり?」
「そ、そうかもしれんなっ」
ストレートにものを伝えるわりには鈍感な冴とわかりやすくて天邪鬼な月麿にテトムは2人に気付かれないように小さく笑った…のだが。
「(あの子達ぃ〜!!)」
聖なる泉を勝手に使い、こちらの様子を盗み見る怪しい4人の存在にテトムは青筋を立てた。
正直、テトムは冴と月麿の味方で是非カップルになって欲しいと願っているのでモンスターペアレント達をどうにか追い払えないかと考えた。
「あぁ私、用事思い出したから先帰るね!」
「おい、テトム?」
「待ってよぉ、テトム~?」
逃げるように帰っていったテトムを不思議に思ったが取り敢えず2人はここに残ることにした。
「ねぇ、シルバー。」
「何だ?」
「今度は私のために吹いてみて?」
「え…?」
困惑する月麿に冴は両手を合わせた。
「お願い!1回だけでいいから!!」
「……まぁ、いいだろう。」
特に断る理由もないので月麿は冴の願いを快諾した。
天空島に再び笛の音色が響く。
冴は目を閉じて月麿の演奏に酔いしれた。
