
僕のまーくん。
第45章 ドキドキの体育祭
あんまり時間がない事も気になりながら、
僕は綾野君にもう一度急いで聞いた。
「……」
綾野君は、僕の言葉に反応して長い前髪の隙間からこちらをチラッと伺うように見た。
その視線と絡んだ瞬間、
N「ん?」
と僕ももう一度聞き返して覗き込んだ。
涙目になってる綾野君の表情が、僕と目が合った
と同時に今度はみるみるうちに青くなっていった。
N「綾野君!ね、本当にどうしたの?大丈夫?」
「……いや……や、やっぱな、なんでもないです」
そういう綾野君は、何でもないって顔はしてない。
なんかあったから、今こんな風に取り乱してる
のは、誰が見ても一目瞭然で。
そんな綾野君を、このままホッとくわけにも
いかなくて。
時間がないって分かってはいたけれど
僕は出来るだけ急いで、綾野君からちゃんと
聞こうって思って、言い方を変えた。
N「綾野君、誰かになんかされた?」
それを聞いた綾野君の身体が瞬間、ビクッと
揺れたのを僕は逃さなかった。
N「誰!?何されたの?」
綾野君が泣いてる姿を見るのは、これが初めてでは
なかったけれど……
あの時の涙とは全然違うという事は今の、この様子の綾野君を見れば分かる。
誰かになんかされたんだ。
綾野君は、見た目はこんな大きいし男前だけどさ。
中身は本当に純粋な人だから……
目の前で涙目になって、明らかに動揺してる
この人を置いていく事は出来なかった。
N「ね?綾野君大丈夫?僕でよければ話して?」
そっと右腕に手を添えて、少しでも安心して
話せる状況を作ってあげた。
