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Hello

第53章 可愛い人は ② * 山


やばい。
智くんをみて、変な妄想してるなんて知られたら、絶対氷点下の目でみられる……!


俺は、煩悩を振り払うように、バリバリとりんご飴をかじった。
舐めてなんて、いられない。
飴の部分が粉々に砕けて地面に落ちてもお構いなしだ。


「翔くん……もっと味わったら?」


智くんがあきれるように言うけど、正直、意識をこっちに切り替えないと、俺の下半身は徐々にえらいことになりつつあって。


……落ち着けと思うのに、制御がきかない。


智くんのいやらしく動く舌はもちろん、アップにしたうなじやら、後れ毛やら。
細い指も、軽く伏せられた、目も。
何もかもが俺の興奮を煽って仕方がない。

誤魔化しのきくデニムとちがい、吸汗速乾の生地のうっすい短パンなんかはいてきてしまったから……。
形はモロバレ。


間違いなく今の状態で俺は人混みは歩けない。
なんなら通報されるかも……(泣)


俺は、リンゴをシャクシャク噛りながら、ウマイぞ、これ、と殊更にはしゃいでみせた。

そんな俺の不自然な動きを、不審そうな目でみつつ、智くんはりんご飴をペロペロ舐める。
しまいには上から咥えるようにしゃぶりはじめて……俺は目眩がしてきた。


やめてくれ……


「さ……智くん。時間も時間だし、そろそろリンゴ食べちゃえば?」

俺が、りんごの芯をぺっと吐きながら、上擦った声でオススメすると。
智くんは、ん……と何故か色っぽい声をあげながら、リンゴ飴に歯をたてた。

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