テキストサイズ

Hello

第53章 可愛い人は ② * 山


「懐かしいな。子供の頃よく食べた」


智くんが、楽しそうに包装してある袋をとった。


「へぇ……。俺は焼きそばとかトウモロコシとか食事系が好きだったから、食ったことねーわ……」

「ほんと?これぶどう飴とかもあるんだよ。そっちの方がほんとは食べやすいんだけど」


言いながら、ペロッと智くんがりんご飴を舐めた。
俺もがさがさと袋をはずし、舐めてみる。



「ね、美味しいでしょ?」

「うん、ウマイ」


外側の砂糖でコーティングされた部分を食べてしまうと中身はリンゴ。
なかなかにボリューミーかも。

だが、歩き続けてほどよく疲れた体に、糖分はありがたかった。

俺は、りんご飴を舐めながら、ふと。
一時期、とあるドラマのヒロインが、りんご飴を食べる様子が可愛らしいと話題になってたことを思い出した。

でも……俺に言わせりゃ、智くんの方が何倍も可愛いんじゃね?

そう思い、チラリと智くんを見下ろして。


…………っ!


心臓を鷲掴みにされたような気がした。


楽しそうにペロペロりんご飴を舐める様が、異常に……イヤらしい。
小さな口から出た赤い舌が、りんご飴を下から上に舐めてて。

それがまるで、あのときのあの行為のような。

智くんは恥ずかしがってめったにしてくれないけど、ごくたまにスイッチが入ったときにやってくれる……アレ。

ぎゅうーんと、下半身が反応を始めて、俺はあわてて足を組んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ