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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・

見つかる確率の方が
はるかに低い探し物


他人様を信用しない・・・とは
言いません





けれど注意深く

気にとめなければ

目にもつかない





私以外の人間には

なんの価値もない

小さな…金属の塊。







見つけたいとどんなに願ったって
見つからないかも知れない





仮にどこかで誰かが拾ってくれても
他人から見たら重要性などない物




親切に交番に届け出なんて
期待は正直できない





『他のお客さんの
迷惑にだけはなりませんから・・・』



「・・・」






『いくらでも・・・待ちますから』



「・・・」






『ダラダラ探したり

お時間は・・・取らせません』





ほんの少しの距離を歩くにも
モタモタと歩かれては

時間を他のお客の
何倍も取られてきた営業マンにとって

まったく説得力に欠ける
私のセリフであったことでしょう









『それでも見つからなければ

本当に・・・あきらめますから・・・』






「・・・」







『お願いします・・・』




私はもう一度、深く頭を下げた



















「ボソボソ・・・~営業車空いてる??」





『・・・っ…?』




営業マンと他の社員との会話が

微かに私の耳に入った





根負けと言うのか

呆れたと言うのか

営業マンは車のキーを手に

ついに私を案内してくれました





『っ・・・ありがとうございます・・・!』





私は営業マンと

お店の人たちに何度も頭を下げて店を出て

案内された車に乗り込みました




ワガママを言って

車まで出してもらうなんて
もちろん望みませんでした

現地へは一人で行きます



・・・なんて言いたい所ですが


先方にすれば
そうも行かないし


そんな事をされては
かえって厄介と言うものです




私は改めて

深々と謝罪し

そして御礼を言いました





気まずい車内

さすがに営業トークなんかありません




迷惑をかけるのを承知でお願いしたこと

私は後部座席で小さくなりながら

さりげに車の中を探したり

その時間も機会も何もかもを

無駄にしないように努めました

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