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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・

「落とし物・・・ですか
はぁ・・・しかしですねカガミさん

今日見た物件を全て
もう一度回ると言うのは・・・~~」




『ご迷惑おかけしてすみません

本当にごめんなさい・・・っ

そこをなんとか、お願いします…!』





「どんなものですか?

特徴・・・形とか、色ですとか

何でも良いので、ここに書いて下さい」




『・・・』




落とし物の届け出のような
用紙を手渡される





『他のお客様が現在
内覧している物件も多数ございますし

今から…全ての物件を回るのは
申し訳ありませんが
正直・・・致しかねます

我々が後程、責任を持って探して
ご連絡を差し上げますから・・・』









親切に、それでいて愛想よく
対応してくれていた営業マンも

さすがに笑顔はなく
困った表情





言っている事はもっともであり
裏を返せば


そんな迷惑な客の
迷惑なワガママに付き合う程

先方は暇でもなければ
無駄な人件費なんて割きたくはない



それは…私にもわかっているけれど










『勝手な事を言っているのも
ご迷惑おかけしていることも
承知しています

だけど・・・どうしても
どうしても見つけたいんです

自分で、探したいんです
大切な・・・ものなんです

だから・・・どうか
お願いします・・・』





先方が苦い顔を深めるにも関わらず

私は何度も頭を下げました




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