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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・


『フゥ・・・』



私は涙を拭いて
ゆっくりと立ち上がりました



転げた携帯電話を拾って
バックにしまいます






そんな、わかりきったことを

甘えた事を言うのはよそう




子どもじゃあるまいし


何を道端で泣いているのよ




誰もいない

それをわかっていて



それ故に

家族に心配や負担をかけるのも

全てわかっていて



それでも

私が望んで決めたこと





一々泣いていたら

身が持ちません




治療も・・・耐えられません



生きていくことも出来ません






甘ったれるのは、よそう








不動産屋さんに

要らぬ迷惑をかけて待たせているのだ

急ごう




私は

タクシーを止めようとした手を

引っ込めて




精一杯のスピードで

先を急ぎました




タクシーに乗ってしまえば

その間の道は

見逃すことになる





いついつまでは確実に付けていた

とか


なになにした時には絶対にあった

とか


どこどこに行った時までは付いていた

なんて





そんな記憶のはっきりなんてしない

体の一部みたいにしていた

大切な指輪の所在





だから

自分が通った道を

探すしかありません





僅かな通り道でも

見逃さないように



探し物をしながら

転ばないように

神経を集中させて歩く

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