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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・

『うっ・・・っ』



私は涙を拭い

床を這うのをやめて

立ち上がりました






皮肉な程に

キレイな青い空



お昼も過ぎる頃
日差しは強く

これからどんどん
ピークに向かい

外は暑くなる・・・




着替えて着ていた
ネイビーのワンピースを脱いで


別の…陽の光を集めにくい
白いワンピースに着替えて


お財布、携帯電話
ICカード


最低限の持ち物と
身軽にしてホテルの部屋を出ました





ホテルのフロントに
落とし物の問い合わせをして

私は…もどかしくゆっくりな
私の脚を引きずり

今朝通った道
先ほど帰ってきた道を

懸命に歩き出しました




アスファルトだらけの土地



太陽の光に
キラリと光るものがあれば
私の目にだってつく



見つかるかもしれない



見つけたい




絶対・・・みつけるんだもん







『ハァ・・・ハァ・・・ハァ』




朝から比較的、歩きっぱなし


普通の人より何倍も負荷のかかる
私の脚は


既にパンパンにむくんでいました





『ぁ・・・』


〃お母さんのくれた杖・・・〃




長時間歩くことが予想され

覚悟もしていた私は

ホテルに置きっぱなしのそれを

思わず思い浮かべました




〃こんな時にこそ・・・〃





ですが、時がおしい



何より


ホテルの部屋に戻って

また出てくる


それだけでも私の体力は

ロスです




すぐに諦めて

私は足を進めました






幼い子供が歩く方がうんと速い


それくらいの


私の歩行速度





〃お願い・・・頑張って〃



それでも奇跡的に
動かせるようになった脚



私は、その2本の脚を
パンパン…と手で叩いて



もどかしさを押し殺し
一歩ずつ前に進みました





ちょうど良いリハビリだわ・・・~



なんて思う余裕は


さすがにどこにもありません





涙を拭って

ひたすら進みます









〃カタチのある物〃なのだから



きっとどこかにあるはず・・・


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