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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・

唯一・・・彼といたことを示す

私の大切な思い出の品

私の・・・お守り






そんな大切なものを

なくしてしまうなんて






『いや・・・・いや・・・・・いやっ』







着替えた服の中

手荷物のバック

荷物の入ったスーツケース


手当たり次第にひっくり返しては

隅々まで探しました




ホテルのバスルーム、洗面所

ベット・・・床





脚を動かす意識など

どこ吹く風で




〃その方が早い〃

と言う無意識下で



床を這いずり回るように

腕の力で移動しながら

部屋中を探していました






〃・・・ここにはない〃






それを、自分自身で

どこかわかっていながら










『そんな・・・いや・・・』





外して、うっかり
洗面台にでも置いたかな?


シャワーを浴びて
無意識に外していたかな?






そんなことは

ないことがわかっていました





生活サイクルのどこにもない行動


無意識なら尚更です






『うっ・・・うっ・・・う』



ポタポタ・・・




こぼれ落ちる涙で

視界がどんどん悪くなります






外して置いたなんてことは有り得ない





ならば・・・










どこかに・・・


・・・落としてしまった。







限りなく確信に近い


その残酷な可能性に


自分で気付いてしまう瞬間









地下鉄や人混みで
引っ掛かって落としたのかもしれない


経年の劣化で
チェーンが脆くなっていたのかもしれない





もしも、そうだとしたら


まず私の手元になど


戻ってはこない・・・








そこに〃あって当たり前〃であっても


そこに〃付いていて当たり前〃ではない





なんてバカなんだろう私は・・・




せめてチェーンのメンテナンスくらい

しておけば良かった






仮に同じ〃物〃が…あれば良いのではない





私以外の人にとっては

なんら価値のない物






あれは・・・代わりなど利かない







彼が





優人が・・・私に




想いを伝えてくれたもの







私たちが・・・お互いを

想い合って誓った




この世に2つとない

大切な指輪なの

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