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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第3章 青空と共に・・・流れる雲

『ゆぅちゃん・・・ゆぅちゃん?』



『・・・』




石のような優人を
私は…一生懸命揺らすのですが・・・




脚を伸ばすか…せめて
〃あぐら〃をかいてもらおうと

動かそうとすれば
優人は…そのまま転んでしまいそうで





『あ…!マサヒロ

ごめん・・・~~ちょっと』




『~~なんだよ、そのオチ(笑)』



着替えて戻ってきた弟を呼び止めて
手伝ってもらい
優人の体を動かします







『ハッ・・・あ・・・~~マリア?』




『ゆぅちゃん・・・大丈夫?』







『わりぃ・・・ちと

風に当たって来るわ・・・』




毅然としていた先ほどとは違い
緊張感から解放されたかのように

オデコの汗を拭いながら
ぼんやりとする優人



『え・・・あぁ、えっと

それなら・・・玄関の~~』



少し慌てながら案内しようとする私は
サクサクとは動けずに

思わず側にいた弟に視線を送り
助けを求めていました



『~~・・・』



弟が…少々苦笑いしながら

手招きするように彼を誘導してくれました






まぁ・・・いいかな?





私は…母のいるキッチンに向かいます




『お母さん・・・私も手伝う』





『うん?・・・いいのよ

あんた達、疲れたでしょう』




手際良く…サクサクと包丁を動かし
料理をする母の背中




『ううん…平気だよ

それより・・・あの…本当に・・・』





ごめんね・・・

そう言いかけた時






『ふふ……じゃぁ、お酒出して
先に持っていってちょうだい?

みんなに注いであげて
ほら?…まりあ、何してるの

優人さん…ひとりポツンと居させたら
お気の毒でしょうに?うふふ』





『お母さん・・・うん…っ』




そう言いつつ
私は…しばらく

そこから動けませんでした


背を向けたままの母が

その背中が

子どもの時よりも…うんと

うんと小さく見えて





ぎゅ・・・っ






『まりあ・・・?』






私は…その小さな背中に
しがみつきました






『ごめんね・・・お母さん』






沢山心配をかけて

母の心に…大きな傷を負わせてしまった

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