
Everyday Love MORE
第8章 ラ・セゾン【白黄】
意識を飛ばしたジャスミンが床に倒れ込みそうになるのを慌てて受け止める。
「わわ、茉莉花さん!」
テツの声にジャスミンは目を開けた。
「ふぁっ!?…ちょ、テツ!?」
「本当、申し訳ありません…」
本当に申し訳なさそうにするテツが少し可笑しかった。
別に嫌でも不快じゃなかったし、怒りなんて湧いてこない。びっくりはしたが。
それに好きな人に求められるのは嬉しいこと。
「別に大丈夫ナリよ!テツこそ大丈夫なの?夜勤明けでしょう?」
「そう…それです…」
「えぇ?」
どうやらこんな暴挙に至ったのは夜勤明けで変なテンションになってしまったらしく挙げ句の果て家に帰ると明日那の姿があり、理性が何処かへ飛んでしまったらしい。
「納得。私、家に行くって言ったわよね?」
「いや…そんなの忘れてました…」
「えぇ!?ひどいナリ!」
いつもの調子を取り戻した口調のジャスミン。豪快に襲われてしまった割にはタフで元気そうだ。
逆に襲った側のテツは体力の限界がきてしまったのか服を着直しもせず床にへばっている。
「ほらもう、体力ないんだから!」
冗談っぽく辛辣なことを言いながらジャスミンはテツに手を差し伸べる。
「茉莉花さん…結構胸にグサってきました…」
ジャスミンの手を握り立ち上がりながら苦笑するテツ。
「うふっ、でもいいのよ。私は。」
急に真面目な顔になったジャスミンにテツは「へっ?」と気の抜けた返事をする。
「またこんなことしてもいいわよ。他に行くよりよっぽどマシ。私を好きに使ってちょ。」
「ナンセンス、使うって…自分をモノみたいに言わないでください。」
「だって…」と言いながらテツを引き寄せ顔を近づける。2人の顔が近い。
「愛はあるでしょ?」
小首を傾げながらそう言うジャスミンにフッとテツが笑った。
「…茉莉花さんには適わないや」
テツの降参の意にジャスミンは「当然ざんす。」と返した。
