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第24章 ひらひら





涼「…あたしさぁ、去年の今頃までは
雅紀と付き合ってたの。」



N「…そうなんだ。」



って、すでに知ってるんだけど、

やっぱり改めて言われると

ツキン、と心が痛い。




涼「ちっちゃい時からずっと一緒でさ。」



N「・・・うん。」



涼「雅紀、幼稚園の時は、あたしのこと
お嫁さんにしてくれるっていってた。」



・・・お嫁さん。



涼さんはぐるぐるとストローで

オレンジジュースをかき回しながら

俯いて話し続ける。




涼「なのに、別れた途端に彼女つくるとか…
もーーーー・・・薄情なやつだよね。」




O「そもそもなんで別れたの?
相葉ちゃんにフラれたの?」



涼「中3の、進学先を決める頃かな。
わたしから別れようっていったんだ。」



O「・・・なんで?好きだったんでしょ?」



涼「その頃ね、どこの学校に行くのか
雅紀が同級生に相談してたみたいなんだけど。
全国からスカウトがかかってたのに、
雅紀が都内の今の高校に行くって言ったんだって。
"遠距離なんて涼が寂しがるから"って。
それを聞いたその同級生が言ったの。
お前は雅紀の足枷だって。」



N「・・・足枷?」



涼「そ。あたしと付き合ってなければ、
雅紀のことだからもっと遠くのもっと強い高校に
行くっていうはずなのにって。」



N「・・・・・。」




涼「もちろん、好きだから近くにいたいし、
雅紀もそうやって思ってくれてるんだって
嬉しかった。
・・・でもそれ以上に、
雅紀の可能性を潰したくなかった。」





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