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第22章 つれづれ




#A




ダッシュで健センパイの部屋に辿り着くと

そこにはセンパイのベッドで、

少し苦しそうに寝息を立てるかずくんの姿。




赤らんだ目元に、しっとりと長い睫毛が

泣いていたことを想像させる。

少し開いた口元からは時々ヒューヒューと

苦しそうに喉のなる音が聞こえる。





ただこんな時に不謹慎かもしんないけどさ、

やっぱりかずくんって可愛いんだよな。



ぷに、と柔らかなその頬をつついてみる。



A「…もっとさ、俺のこと頼ってよ。」




ボソッと漏れる弱音。



最近かずくんの心が見えなくて辛いよ。

昨日もあんなこと言われちゃうし。

めいっぱい好きって伝えてるつもりでも

俺の気持ちって案外伝わってないのかな。




N「んぅ…、 」



調子に乗ってほっぺたをつまんでたら

かずくんの瞼がうっすらと開いた。

焦点が合わない目でぼんやり俺の方をみると



N「・・・・・まーくん。」



と一言呟いた。




寝言と会話しちゃいけないって

誰かが言ってた気がする。



でもさ、呼ばれちゃったもん。




A「…なぁに?かずくん。」




すると一瞬、ここ最近では見なかった

穏やかな笑顔でにこぉっと笑って








N「…スー…スー」




って、寝んのかい!!





今の笑顔、可愛かったな・・・。

久々に笑った顔をみたかも。








・・・とりあえず運ぶか



A「っよ、、って軽ー・・・」




こんな軽かった?もともと華奢なのに

体育祭の時より随分と痩せた気がする。




A「なぁ、何がお前をそんな苦しめてんの…?」




腕の中で眠ったままのかずくんが

ギュッと俺の服を握りしめ、

それがまるで"お前だよ"と言われているようで

たまらなくなった。






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