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好きって言わない!

第27章 ラブストーリーは突然に。





ガチャ、と静かにドアの開く音が聞こえて、俺はさらに丸くなる。





S「・・・お前はシンデレラか。」





チラっと顔をあげると。




俺が脱ぎ捨てたヒールを持って、翔が呆れた顔で笑っていた。




N「うるさい。」




S「それともサザエさんか。」




N「・・・。」




サザエさん??
・・・ああ、裸足で駆けてく、って歌詞があったな。




N「それ分かりにくい。」




S「はははっ、そうか。笑」




俺の前でしゃがむと、頭をポンポンと撫でられた。





S「雅紀が探してる。」




N「会いたくない。」




S「・・・あいつも泣きそうな顔してたぞ。」




知らないよそんなの。




S「全く・・・お前らって面倒だなぁ・・・。」




N「何がだよ。」




S「とりあえず着替えに行くぞ。
靴履け。」




俺にヒールを渡して、立ち上がった翔をジッと見上げる。




S「なんだ?」




N「・・・足痛くて履けない。」




S「は?」




N「歩けない。抱っこしろ。」




S「お前なぁ・・・」




文句を言ったところで無駄だと思ったのか、ひとつため息をついて俺に手を伸ばす。




S「雅紀に甘えられねぇからって、俺に甘えんなよ。」




だって・・・
俺今すっげぇ落ち込んでるんだもん・・・




S「・・・泣くなよ?!」




N「泣かないもーん!」




S「泣くなっつーの!!
ホラ!!来い!!」




翔に抱きつくと、ひょいっと持ち上げられた。
整った顔がジトッと俺を睨む。




S「・・・お前、俺を都合の良い男にしようとしてるだろ。」




N「だって言う事聞いてくれるもん。」




S「あーあー、もう。
とんだ小悪魔だよ全く。
さっさと雅紀に引き取ってほしいね。」







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