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Treasure of life

第11章 After the rain

「……何?」

「キス……して」

その瞬間…、グッと手を引かれ、キツく抱き締められた。

「…んっ」

乱暴なキスをされる。

智くんの舌が唇をこじ開けて入ってきて、俺の舌と絡み合う。

「ん、はぁっ」

息が苦しくなって唇を離すけど、智くんはキスを止めない。


「智…くん…、苦し……」

俺がそう言うと唇が離れた。



しばしの沈黙が流れたあと、智くんが口を開いた。

「……潤、俺をドライブに連れていってくれるって言ったじゃん?あれは嘘だったの?」

「そ……れは……」

俺は言葉に詰まってしまった。

「困らせるつもりじゃないけど……」

智くんは頭を掻きながら呟く。




「潤、さよなら」

「智く……ぅわあぁぁ」

智くんが走って去っていく。俺に傘を預けたまま……。


俺はその場に崩れ落ちた。


空からは容赦のない雨が降り注いでいた―――。

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