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Treasure of life

第11章 After the rain

「潤、どうしたの!?」

そんな願いも虚しく、俺が涙を浮かべていることに智くんが気づいてしまった。



「……智くん、




俺と…、別れてください……」


「……は?別れてって……、どうして?」

智くんはこの状況が飲み込めないというふうに明らかに動揺した。



「……ごめん。

他に好きな人が出来た……から」

「……それって……女性?」

「…うん」

「……そう…なんだ……」

智くんは次の言葉を探してるようだった。



「それは……、俺にはどうにも出来ないや……」



智くんは引き止めはしないだろう。


そんなこと最初からわかっていた。


元々、付き合ってと言った俺に反対したのは智くんだ。


俺から付き合ってほしいと言っておいて、俺から別れを切り出すなんて、最低なやつだと思われただろう。



俺は涙を堪えきれずに、声を絞り出すように言った。


「……智くん、最後に…、俺のわがまま聞いてくれる……?」

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