
Treasure of life
第11章 After the rain
美術館を出ると、まだ明るい空にキレイな月と夕焼け雲が浮かんでいた。
「智くんが解説してくれるから、わかりやすくて面白かったー」
「良かった〜」
「さすが大野センセイ!(笑)俺が一人で見ても何もわかんないからさ〜」
「そう?アートっていろんな感じ方があるから人それぞれで良いと思うよ」
「じゃあ俺が感じたことも間違いじゃないんだ」
「全然間違いじゃないよ!むしろ潤の方が感性豊かかも」
「それはないな〜」
2人一緒に笑いながら歩いた。
夕飯を済ませ、帰りの電車に乗り込む。
吊り革に掴まりながら、ふと上を見上げていた潤の目がある広告の一点で止まった。
「あっ、花火大会だって」
「花火大会か〜。学生時代に男友達数人で行ったなあ。飲みたいが為に誘われて」
「智くんは自分からは誘わなそうだよね(笑)」
そんなことを話しながら、まもなく潤の家の最寄り駅に到着。2人で電車を降りた。
