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Treasure of life

第11章 After the rain

side M

智くんはいつもウチの近くの大きな公園まで送ってくれる。

2人きりになったから、俺から手を繋いだ。

「今日もありがとうね。智くんがいろいろ解説してくれたから、俺ちょっと利口になったよ(笑)」
「んふふっ」
「でね、智くん、今度花火見に行きたい」
「あぁ、あの中吊りにあったやつ?うん、いいよ」

さっきから気になっていたあの広告。

智くんがフニャッと笑ってOKしてくれたから
「ほんと?やったー」
思わず俺は子供みたいに喜んでしまった。


池沿いの小道を歩き、木陰のベンチに2人、腰を下ろした。

「あのさ、前から考えてたんだけど。俺が卒業したら、車の免許取って智くんを乗せてあげるっ!」

俺がそう言うと、智くんはキョトンとした。

「電車で移動もいいんだけど、車なら学校帰りに会うときもこそこそしなくていいし、ドライブデートとかも行けるでしょ?」

「ふふっ。潤、ありがと。
楽しみにしてる」

にっこりと俺に笑顔を向けた智くん。


この笑顔、好きだなあ。

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