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Treasure of life

第11章 After the rain

やってきたのは、とあるオフィス街の古い雑居ビルの地下に位置する昔ながらのレストラン。

オーダーして暫くすると、カレーポットに入ったカレーと広めの皿に盛り付けられたご飯が出てきた。

スパイスの効いたカレーの香りが食欲をそそる。

「潤、チーズ入り?」
「うん♪ほら、チーズとろとろ」
「おしゃれだな〜」
「フォトジェニックってやつだね」
「フォト、じぇにっく??」
「もういいや(笑)」

「「いただきまーす」」

「あ、そういえば。自転車見つかったの?」
「そうそう。なんとか無事見つかったよー。
駅の近くで乗り捨てられてた。ウチの学校って駅から微妙に離れてんだよ。歩くと10〜15分くらい。腹立たしいけど、乗ってったヤツがいたんだろうな」
「いるんだね、そんなヤツ。でも見つかって良かったね」


カレーを堪能すると、食後にコーヒーが出てきた。

なんでもこのお店のサービスなんだそう。

ブラックで口にする智くん。

俺も真似してブラックで一口飲んだ。

「にがーっ」
「ははっ。潤にはブラックはまだ早いよ(笑)」

智くんは人の気も知らないで笑い飛ばす。

「うるさいなあ。子供じゃねぇもんっ」

プイッとそっぽを向いた俺を、智くんは頬杖をつきながら穏やかな笑顔で見ていた。

「ふふっ。かわいい」
「からかうなよっ////」
と怒ったけど、智くんの雰囲気に呑まれて俺もつられて笑った。

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