
ねぇもう嫌・・・
第21章 検査④
針で刺されているような痛みが左胸を襲った。
「っ…」
…イタイ
もうそれどころじゃない。
"欲を抑えた後の平常心"はおろか、もはやそれを通り越したあとの落ち着きの無さ。
ズギズキとつんざく痛み。
だけど、目の前の医師にこんなコト告げるわけには行かない…っ
痛みが走らない場所を探そうと左手を色んなところに当ててみる。
「っ…」
全然駄目だ…っ
『…っ。どーしたの?
そんなに苦しそうな目をして。
…目だけで誘ったって無駄だよ。
俺はあくまで患者を尽くすだけなんだから。』
「っ」
…違う…っ
頭の中で"違う"と大声で叫ぶ自分を浮かべた。
…いたい…
いたいよ…どうしよう…
『…なんで泣くの?
…っ。
もう君の感情が分からないよ。
…ちゃんと話して?
君の口から、本当のことを。』
柊先生がため息を交えて私に尋ねた。
「っ…」
唇は震え、顔は紅潮。
もうどうしようも出来ない…。
結局、柊先生が私を諦めて部屋を出て行った。
私がシてって頼んだら柊先生はなにをしてくれるの?
この胸の痛みは何?
聞きたいことたくさんあるのに、
一人になった部屋で身体を起こすと、
スーッと消えていく痛み。
全部、柊先生のせいだ…。
