
ねぇもう嫌・・・
第21章 検査④
『導尿、久し振り?』
「…」
『否定しないってことは…大分やってなかったんだね。』
耳が痛い話に、そっと窓に頭を向けた。
『俺言わなかったっけ。
君が中学生の時、最後の診察で導尿と薬はサボるなって。』
『忘れてた?』
柊先生が管の先端にゼリーを付け終わると、私の目を見た。
目線と目線が一本の線となると、
咄嗟に下を向いた。
『…大事な事だから、本当の事を言って。
あれからずっとしてないの?』
「っ…」
『…っ。嘘は良くないよ。』
私の反応を見て、柊先生が横を向いてクスッと笑った。
『ずっとやってなかったんでしょ。
管がナカに入る感触、
全部忘れちゃったんでしょ。
…
じゃあ、一年前、
君が初めて導尿をした時と同じなんだね。
っ。布団を被ってて。
視界を遮断した方がやりやすい。』
柊先生はそう言って、足元にまとめてあった布団をバサッと私に掛けた。
「っ…」
軽くてふわふわな布団。
柔らかな素材が暖かさを生んだ。
慌てて顔をだそうとすると
『顔を出すな。俺が言う迄、ずっとだ。』
「っ…」
私は大人しく被ったままにした…
