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今日も明日も 2nd season

第1章 見えない鎖 Ⅸ


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ああ、やっぱり


話し終えても、かずくんの嗚咽は止まらない

それどころか “迷惑かけて、ごめんなさい“ と繰り返している

かずくんは、何回も “帰ります“ と訴えた

俺に危害を与えたくない、と何度も言った

“まーくん、殺される“ なんて物騒な事を言うかずくんは
お兄さんの性格を良く分かっている

まあ、当たり前か

そこは先輩達ですら知ってる部分だ


「大丈夫。死なない」

「お兄ちゃん、怖いです」

「ねえ、かずくん」


俺が確かめたかった事
…今しか聞けるチャンスはない



ー…お兄さんの事を抜きにして、俺と一緒にいたいと思う?


色んな取り巻く状況を無にしたとき

純粋に、俺と一緒にいたいと思ってる?





「…言って、いいんですか?」

暫く黙り込んだ後、かずくんが掠れた声を出した

「言って。聞きたい」
そう言って俺が頷いて見せたら

俺の人差し指を握る手に、少しだけ力が入って

唇を一度噛み締めたかずくんは、それでも俺から視線を逸らす事なく



「俺………」

再び、指に力が込められた

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