無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「それくらい、俺が行くのに」

大きなシェア用のポップコーンと、ドリンクを持った相葉さんに少しだけ唇を尖らせた


「いいって。ほら、入ろ」


至れり尽くせり

まさにその言葉がぴったりのデートに、どこか気恥ずかしくもある


あるからこそ


席に着いたら、ちょっとだけ相葉さんを喜ばせたくなった



「え…何、これ」

相葉さんに促された席は、軽く仕切りをされた一般席より遥かに座り心地の良いペアシートで


「ちょっと贅沢してみた」

“でもバカ高い訳でもないよ“

ふふ、と笑う相葉さんに、思わず呆れてしまった


「たかが映画なのに」

「これならバレる心配はまずないからね。それに…」

“これなら堂々と手を繋げる“

耳許で囁かれ、自分の考えがバレたのかとドキッとした


だって

喜ばせたいのって、観賞中ずっと相葉さんと手を繋ぐ事だったから


「ばーか」

小さな声で悪態付いて、さっさと席に座る


館内が暗くて良かった

間違いなく赤くなってる顔を見られなくて済む



それにしても、ホント座り心地最高

家のソファーよりも遥かにいい


…むしろ良すぎて寝ちゃいそうなんだけど、大丈夫かな